Azure Virtual Machinesとは?シリーズの特徴・利用するメリットを解説

Microsoft社のクラウドサービス「Azure」が提供する「Azure Virtual Machines」は、多くのメリットを持ち、さまざまな用途がある仮想マシンです。本記事ではAzure Virtual Machinesとはなにか、利用した際のメリットを解説します。11種類と数の豊富なシリーズについて、特徴や価格もまとめていますので、ぜひ読んでみてください。

Azure Virtual Machinesとは

Azure Virtual Machinesとは、Micosoft社のクラウドサービス「Azure」上で提供されている仮想マシンのサービスです。Azure Virtual Machinesは、頭文字をとって「Azure VM」とも呼ばれます。

仮想マシンとは、サーバーなどの物理ハードウェア上にソフトウェアで構成されたコンピューターです。「仮想化」という技術によって、PCの中にもう一つPCが入っていると想像すれば、分かりやすいのではないでしょうか。

Azure Virtual Machinesには多くのシリーズがあり、開発テスト向けのエントリーモデルから、画像処置装置(GPU)を搭載して、高負荷のワークロードに適したモデルまでさまざまです。ここからはAzure Vittual Machinesの主な用途やシリーズについて見ていきましょう。

Azure Virtual Machinesの主な用途

仮想マシンのサービスであるAzure Virtual Machinesの主な用途には、以下のものがあります。

  • 開発用サーバーやテストサーバーとしての環境
  • アプリケーションのデプロイや動作検証の環境
  • ミドルウェア(Webサーバーやアプリケーションサーバーなど)の実行環境
  • 既存OSのバックアップ
  • 本来の対象ではないOS上でのソフトウェアやアプリケーションの実行
  • 負荷の高いアプリケーションの運用 など

Azure Virtual Machinesは前述した通り多くのシリーズがあり、それぞれ用途が異なります。本来の対象ではないOS上のソフトウェアやアプリケーションが実行できる点などは、仮想マシンのメリットを最大限活かした用途といってよいでしょう。

なお注意点として、Azure Virtual MachinesはIaaS(ネットワークやハードウェア、OSを提供するサービス)のサービス形態です。OSに搭載されるミドルウェアやアプリケーションは、自社で準備する必要があるため注意しましょう。

Azure Virtual Machinesを利用するメリット

Azure Virtual Machinesを利用するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

1.コストの削減

2.高度なアジリティとスピードを持っている

3.ダウンタイムが短縮できる

4.高いスケーラビリティがある

5.優れたセキュリティの元運営できる

順番に見ていきましょう。

コスト削減
Azure Virtual Machinesを利用するメリットとして、コスト削減が挙げられます。Azure Virtual Machinesは、使った分だけ料金が発生する従量課金制の料金体系を採用していますが、以下の特典を利用すれば、最大80%のコスト削減が可能です。

  • 事前予約インスタンス
  • Azureハイブリッド特典
  • Azure Spot Virtual Machines(スポットVM)
  • 開発・テスト専用環境としての利用

Azure Virtual Machinesだけの特典ではありませんが、Azureには、1年または3年継続して利用すると宣言した場合に割り引かれる「予約特典」があります。Azureで予約特典を利用すれば、価格は通常の従量課金制と比較して最大72%、ハイブリッド特典と併せると、最大80%もの割引となります。

予約特典と併用できるハイブリッド特典とは、オンプレミスからAzureに移行する際に適用される割引です。ほかにも、常に利用できるかの保証はなく、途中で中断する可能性もあるが大幅な割引が可能なスポットVMや、開発・テスト専用環境として利用する場合のみに適用される割引もあります。

高度なアジリティとスピード

高度なアジリティとスピードを実現できる点も、Azure Virtual Machinesのメリットです。アジリティとは俊敏性を表す単語で、さまざまな場面で利用されます。迅速に仮想マシンを調達し、提供できるまでにかかる時間と考えてもらえればよいでしょう。

Azure Virtual Machinesは、簡単な操作で作成や起動が行えるため、非常に素早いスピードでサーバーの環境を整えられます。オンプレミスでサーバーの調達をおこない、導入し、設計することを考えれば、差は歴然です。

ダウンタイムの短縮

Azure Virtual Machinesを利用すれば、ダウンタイムが短縮できる点もメリットです。ダウンタイムとは、Webサービスやシステムが何らかの原因によって停止している時間を指しますが、Azure Virtual Machinesはダウンタイムが起こった際は自動的に、別の物理サーバーにて復旧ができます。

ダウンタイムの短縮は、他の物理サーバーへの移植性が高いからこそのメリットです。Azure Virtual Machinesを導入すれば、ユーザーはほとんどダウンタイムの影響を感じずに利用できるでしょう。

高いスケーラビリティ

高いスケーラビリティを備えている点も、Azure Virtual Machinesのメリットです。スケーラビリティとは、システムの規模に柔軟に対応できる度合いを指し、拡張性ともいわれます。

Azure Virtual Machiesでは、想定を超える負荷があった場合でも、何千もの仮想マシンを作成および管理するVirtual Machines Scales Setによって負荷分散と自動スケーリングが可能です。高いスケーラビリティは仮想マシンの快適性を高めてくれるでしょう。

優れたセキュリティ

Azure Virtual Machinesは、優れたセキュリティもメリットです。Azure Virtual Machinesには、機密データの暗号化や気密性や整合性の保護、脆弱性の検出や修正などの機能が備わっています。

またセキュリティに関する国際規格であるISO/IEC27001の認証も取得しているため、コンプライアンスの面でも安心です。

Azure Virtual Machinesのシリーズと特徴

ひと言にAzure Virtual Machinesといっても種類は一つではありません。Azure Virtual Machinesの種類は11にも及び、それぞれ特徴が異なります。
A シリーズ

Aシリーズは、開発とテストに適したエントリーモデルのシリーズです。CPUとメモリの構成はコストパフォーマンスを重視しています。

ワークロードの例としては、以下の通りです。

  • 開発及びテスト用サーバー
  • 低トラフィックのWebサーバー
  • 小規模から中規模のデータベース
  • 概念実証用サーバー
  • コードリポジトリ など

Aシリーズの最新世代「Av2 Standard」は、以前と比較してvCPUあたりのRAMが増え、ディスクが高速といった特徴を持っています。

Bs シリーズ

Bsシリーズは、コストパフォーマンスに優れた仮想マシンで、ワークロードの例は、以下の通りです。

  • 開発およびテスト用サーバー
  • 低トラフィックのWebサーバー
  • 小規模なデータベース
  • マイクロサービス
  • 概念実証用のサーバー
  • ビルドサーバー など

通常は低〜中程度のベースラインのCPU使用率で実行されていますが、急に高性能のアプリケーション環境が必要となった際でも対応可能です。コストパフォーマンスに優れつつ、さまざまな環境に対応できる点が、Bsシリーズの特徴といえるでしょう。

D シリーズ

Dシリーズは、ほとんどの運用ワークロード要件を満たせるシリーズです。汎用コンピューター向けで、vCPUとメモリ、一時ストレージの組み合わせで、さまざまな運用環境に対応します。

Dシリーズのワークロードの例は、以下の通りです。

  • 多くのエンタープライズグレードのアプリケーション
  • eコマースシステム
  • エントリレベルとミッドレンジのデータベース
  • アプリケーションサーバー
  • ゲームサーバー
  • メディアサーバー など

現在は、Dシリーズの後継であるDv2およびDSv2シリーズが提供されています。Dv2およびDSv2はDシリーズと比較して、より処理能力の高いCPUと最適なCPU対メモリの構成を備えている点が特徴です。

E シリーズ

Eシリーズは、SAP HANA(SAP社が提供する高速データベースシステム)などの、メモリ内負荷の高いアプリケーション向けに最適化されたシリーズです。ワークロードの例としては、以下のものがあります。

  • SAP HANAのアプリケーションレイヤー
  • メモリを大量に消費するエンタープライズアプリケーション
  • 大規模なリレーショナルデータベースサーバー など

Eシリーズは、コアに対するメモリ比率を高く設定している点も特徴です。vCPUは2〜64個、RAMは16〜432GiBが使用可能となっています。

F シリーズ

Fシリーズは、CPU対メモリの比率に優れ、コンピューティングに最適化された仮想マシンです。ワークロードの例としては、以下のものがあります。

  • パッチ処理
  • Webサーバー
  • 分析
  • ゲーム など

Fシリーズのバージョン2であるFsv2シリーズはvCPUあたり2GiBのRAMと、8GBのSSDが搭載されています。

G シリーズ

Gシリーズは、汎用向けのDシリーズと比較して、2倍のメモリと4倍のSSDを持つシリーズで、ワークロードの例には、以下のものがあります。

  • 大規模なSQLデータベース
  • NoSQLデータベース
  • ERP
  • SAP
  • DWH(データウェアハウス)ソリューション など

Gシリーズには最大0.5TBのRAMと32のCPUコアが搭載されています。他に類を見ないほどのコンピューティングパフォーマンスをもつGシリーズは、多くの負荷の高いアプリケーションに最適といえるでしょう。

H シリーズ

Hシリーズは財務分析や気象シミュレーション、シリコンRTLモデルなどのハイパフォーマンスアプリケーション向けに最適化されたモデルです。ワークロードの例としては、以下のものがあります。

  • 気象モデリング
  • 量子シミュレーション
  • 計算科学
  • 熱伝導シミュレーションなど

Hシリーズには、HBとHCの2つのシリーズがあります。HBシリーズは、メモリ帯域幅が重要なアプリケーションの利用に最適で、HCシリーズは、集約型の計算をおこなうアプリケーション向けの仕様となっています。

Ls シリーズ

Lsシリーズは、低遅延や高スループット、大きなローカルディスクストレージを必要とするアプリケーションに適したシリーズです。Lsシリーズのワークロードの例には、以下のものがあります。

  • NoSQLデータベース
  • 大規模トランザクションやデータベース など

LsシリーズにはLsシリーズとLsv2シリーズがあり、Lsシリーズでは、最大32個の仮想コアと256GBのメモリ、6TBまでのSSDが使用可能です。Lsv2シリーズには、直接マッピングされたローカルNVMe(Non-Volatile Memory Express)ストレージが搭載されています。Lsv2では最大80個の仮想コアを稼働させ、仮想コアあたり8GiBのメモリと最大19.2TBを使用できます。

M シリーズ

Mシリーズは、高負荷のメモリ内ワークロードに最適のシリーズで、ワークロードの例には以下のものがあります。

  • SAP HANAやSAP S/4 HANA、SQL Hekaton
  • 超並列コンピューティング能力を必要とする大規模ワークロード など

Mシリーズは、1台で最大4TBのRAMと最大128個の仮想コアを提供しています。メモリに最適化されたMシリーズであれば、ハイパフォーマンスの並列処理を実現できるでしょう。

Mv2 シリーズ

Mv2シリーズはメモリが最適化された最大の仮想マシンで、3TBや6TB、12TBのメモリ構成が用意されています。Azureが提供する仮想マシンの中でメモリ容量は最大のシリーズで、非常に優れたコンピューティング性能により、高性能の並列処理が可能です。

  • SAP HANAやSAP S/4 HANA、SQL Hekaton
  • 超並列コンピューティング能力を必要とする大規模ワークロード など

ワークロードの例としてはMシリーズと同じで、Mv2シリーズの仮想マシンは、大規模なオンメモリデータベース環境や、リレーショナルデータベースに適しています。

N シリーズ

NシリーズはGPUが有効な仮想マシンで、コンピューティング処理やグラフィック処理などの高い負荷の処理に適したシリーズです。特定のワークロードに合わせた3つのオプションがあり、ワークロードの例としては、以下のものがあります。

  • シミュレーション
  • ディープラーニング
  • グラフィック レンダリング
  • ビデオ編集
  • ゲーム
  • リモート視覚化 など

多くのシリーズを展開しているAzure Virtual Machinesですが、利用用途を明確にしておかなければ、最適なシリーズを選ぶことはできません。何のために、何がしたくて、Azure Virtual Machinesを導入するのか、しっかりと検討して最適なシリーズを選択しましょう。

仮想マシンのOSはLinuxかWindowsのどちらかを選べる

価格の面でも少し触れましたが、Azure Virtual Machinesは仮想マシンのOSを、LinuxまたはWindowsから選べます。以下にAzure Virtual Machinesで利用できるOSを一部抜粋して挙げますので、参考にしてください。

<Windows系>

  • Windows Server 2008 R2 SP1
  • Windows Server 2012 R2 Datacenter
  • Windows Server 2016 Datacenter-Server Core
  • Windows Server 2016 Datacenter-with Containers
  • Windows Server 2019 Datacenter
  • Windows 10 Pro N,Version 1909
  • Windows 10 Pro,Version 1909 など

<Linux系>

  • CentOS 6.3+ / 7.0+ / 8.0+
  • CoreOS 494.4.0+
  • Debian 7.9+ / 8.2+ / 9 / 10
  • SUSE Linux Enterprise for SAP / 11 SP4 / 12 SPI+ / 15
  • Ubuntu 12.04+ など

Azure Virtual Machinesは、Azureで実行するために最適化されたソフトウェアが揃うマーケットプレイスである「Azure Market Place」で、仮想マシンのイメージをダウンロードして利用することも可能です。普段利用している頻度の高いOSを選び、快適に利用しましょう。

WindowsOSを利用した場合でも、LinuxOSを利用した場合でも、別途ライセンス料を支払う必要がない点も、Azure Virtual Machinesを利用する嬉しいポイントといえるでしょう。

Index